プリファブ・スプラウト Prefab Sprout (Part.6)

 プリファブのライブ活動に注目!Part 3.(85年、2ndアルバム「「Steve MacQueen」後のライブ)

プリファブ・スプラウトにとって1985年から86年半ばにかけては、もっともライブ活動を行なっていた時期でした。リリース状況も2nd「Steve McQueen」の発売をはじめ、とくに「When Love Breaks Down」のかたちをかえての頻繁な再発売など、ほぼ2ヶ月に一度のリリースがありました。また85年秋には、「Protest Songs」が録音され、12月の発売が告知(のち86年1月発売予定に変更)されながら、リリース自体がキャンセルされるという事件(?)も起こりました。今回はそんな、いわばグループにとっての青春期に行なわれた、ライブ活動について取り上げてみたいと思います。

"The Great Escape Tour"

「Steve McQueen」発売後の85年7月、フラー!をオープニング・アクトに、"The Great Escape Tour"と銘打ったイギリス国内での短いツアーが行なわれます。ツアー・タイトルはSteve McQueenの出演作「大脱走」にちなんだものですが、アルバムのプロモーション用に行なわれたインタビューを収録したカセットのタイトルにも使われています。そのためかNME誌など当時の音楽誌のレビューに、このタイトルがよく使われています。

さてこのツアーは、メンバーの4人のほかギターにケヴィン・アームストロング、キーボードにマイケル・グレイブスを加えた6人組で行なわれました。

またメンバーのニール・コンティ(ドラムス)とギターのケヴィン・アームストロングはまさにこのツアー直前の7月13日、世界的なイベントとなった「ライブ・エイド・コンサート」にデヴィッド・ボウイのバック・バンドの一員として出演しています。これがさらにマーティン・マクアルーンを加えた、ボウイ&ミック・ジャガーの「Dancing in The Street」の共演シングルの参加へつながっていきます。他のグループやアーチストとの交流が少ないプリファブにはめずらしい機会だったといえると思います。

■  85.7.22 ロンドン、ドミントン・シアターでのライブ 

このツアーのハイライトとなったのは7月22日に行なわれたロンドン、ドミントン・シアターでのライブ。なんとアンコールの「When The Angels」で、自らもアーチストであり、「Steve McQueen」のプロデューサーであるトーマス・ドルビーが参加しています。

以下セットリストです。

1.「Don't Sing」 1stアルバム「Swoon」収録曲、シングルA面曲

2.「Bonny」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

3.「Green Isaac」 1stアルバム「Swoon」収録曲

4.「Moving The River」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

5.「Hallelujah」 2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

6.「Goodbye Lucille #1(Johnny Johnny)」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

7.「Cars And Girls」3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」収録曲、シングルA面曲

8.「Lions in My Own Garden (Exit Someone)」 1stシングルA面曲

9.「Appetite」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

10.「When Love Breaks Down」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

11.「Rebel Land」未発表曲

12.「Faron Young」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

13.「When The Angels」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

14.「Cruel」 1stアルバム「Swoon」収録曲

15.「Ghost Town Blues」 1stアルバム「Swoon」収録曲

選曲は発売されたばかりの「Steve McQueen」からの曲が多くなっています。とはいえ「Steve McQueen」収録曲の多くがデビュー以前に書かれていたことを思うと、おそらく当時の新曲だっと思われる「Cars And Girls」と「Rebel Land」が選ばれていることが重要なのかもしれません。くしくもこの2曲は同時期のBBCセッションでも取り上げられています。

またアレンジにギターが2本あることを生かした「Goodbye Lucille #1(Johnny Johnny)」や、キーボーディスト、マイケル・グレイブスの貢献も光る「Appetite」、「When Love Breaks Down」もレコードの雰囲気を再現しています。

そして「When The Angels」ではトーマス・ドルビーがショルダー・キーボードを抱えて登場。最初の歌のフレーズからきれいにハモったり、かなりノリもよくボーカルを取っています。次の週のNME誌のライブ・レビューではこの共演時のパデイ・ケヴィン・トーマス・ドルビーの3人が並んだ写真が掲載されています。

"The Two Wheels Good Tour"

10月、3回目の「When Love Breaks Down」のリリースでついにシングル・チャート25位とこれまでの最高位を記録したプリファブ・スプラウトは、大掛かりな国内・ヨーロッパ・ツアーを計画します。またもフラー!をオープニング・アクトに、10月から11月にかけて"The Two Wheels Good Tour"を行ないます。前回の"The Great Escape Tour"ツアーを経て、この6人編成での演奏に慣れや落ちつきといったものが出てきたのか、たいへん良い演奏が展開されています。また9月に「Protest Songs」録音のため、スタジオに入っていたせいもあるのか、パディの歌がすばらしく、まさにライブ・バンドとしての旬と成熟が感じられる時期だと思います。

■  85.11.16 レディング大学でのライブ 

このツアーのうち11月16日のレディング大学でのライブが「BBC Live in Concert」の番組用に録音されています。おそらくアンコールの2曲を除いた完全収録となるこのライブでは、録音されていることが意識されているのか、さらにしっかりとした演奏が展開されています。

以下セットリストです。

1.「Moving The River」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

2.「Cars And Girls」3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」収録曲、シングルA面曲

3.「Bonny」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

4.「Faron Young」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

5.「Hallelujah」 2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

6.「Lions in My Own Garden (Exit Someone)」 1stシングルA面曲

7.「Wicked Things」「Protest Songs」収録曲

8.「Goodbye Lucille #1(Johnny Johnny)」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

9.「Tiffanys」「Protest Songs」収録曲

10.「When Love Breaks Down」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

11.「Don't Sing」 1stアルバム「Swoon」収録曲、シングルA面

12.「When The Angels」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲

13.「Appetite」2ndアルバム「Steve McQueen」収録曲、シングルA面曲

*実際のライブではこのあとに2曲演奏。

選曲は放送用に曲順が編集されている可能性もありますが、「Protest Songs」収録の2曲が目立ちます。

意図されたものかどうかはわかりませんが、「Protest Songs」はこのライブが「BBC Live in Concert」として初回放送される86年1月11日の翌日にリリースされることになっていました(結局、発売は延期)。どちらの曲もキーボード(ピアノ)のアレンジに占める割合が大きいのですが、このライブでもいいアクセントになっていると思います。

またこれより2日後のロンドン、ハマースミス・パレスでのライブでは冒頭にやはり「Protest Songs」収録曲「Horse Chimes」が演奏されています。曲中の口笛やボーカルのエコーなども再現されており、ゆったりとしたテンポながら、かなり聴き応えのある演奏となっています(このレディングでも演奏されていた可能性があります)。

■ おわりに

このライブ後ヨーロッパ・ツアー、Red Wedgeツアーへの一部参加を経て、「大ブレイクの年」、1985年は終ります。そして86年は本国・ヨーロッパ、日本へとツアーは続いていきます。2002年現在ではツアーの予定はまったくといっていいほど聞こえてこないプリファブ・スプラウト、これほど精力的なものは無理としてもライブ活動の再開を期待したいものです。

*おまけ

蛇足ですがこの85年の最後に発売されたNME誌の企画ページでは、この年のパディのルックスの特徴であるあごひげを、自身が剃り落としている写真が掲載されています。NME誌の年末の企画ページといえば、スタカン時代のポール・ウェラーのボディ・ペインティング写真やイアン・マカロックの女装写真などの、意外な写真が掲載されますがこれもその一貫だったのでしょうか?

記事作成 2002年 1月)

*この記事の作成にあたりまして、当時のグループの活動状況については、ジョン・バーチさん著「マイス・メロデイックス・メタフィジックス」の内容を、参考にさせていただきました。

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