プリファブ・スプラウト Prefab Sprout (Part. 2)

プリファブのアルバム未収録音源に注目!Part 2.

 3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」 関連のアルバム未収録音源

(Part1.からの続き)シングル「When Love Breaks Down」のヒットと、アルバム「Steve McQueen」のロングセラーにより、彼らにとって1985年は大成功のうちに幕を閉じました。翌86年1月にアルバムからの3枚目のシングルカットとなる、「Johnny Johnny」(「Goodbye Lucille #1」の改題)が発売されると、リリースに関してはこれから丸2年のあいだ長いブランクとなります。

今回は3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」関連のオリジナルアルバム未収録音源について、触れてみたいと思います。

「Vendetta」

「Cars And Girls」(全フォーマット)のB面曲です。

3rdアルバム「From Langley Park to Memphis」の先行シングルとして、88年2月、彼らの久々のリリースとなりました。(全英チャート44位)

なおこの曲は同年9月に再発売され、それぞれ2種類のジャケットがあります。また収録曲が異なったフォーマットが各発売分で数種類出されており、たいへん複雑なリリース状況となっています。ただしアルバム未収録音源で初出となるのは「Vendetta」「Nero The Zero」の2曲のみで、これ以外はそれまでに発表されていた曲の再録です。

さて「Vendetta」ですが、3rdアルバム収録曲とは趣きの違う、アップテンポの曲となっています。セルフプロデュースにしては、構成要素が多く(トラックが埋まっている)、また曲の印象は初期に近いものを感じます。

曲のサビでは珍しく歪んだギターによるバッキングがあり、パデイの激しいシャウトも聴けます。たしかにこの時点では、B面としてしか発表出来なかったのかもしれませんが、たいへん興味深い曲です。

Nero The Zero

「Cars And Girls」の12インチシングルのB面曲です。

88年に入りこのシングルから、CDシングルというフォーマットが発売されるようになりました。おかしなことにこの「Nero The Zero」は、この「Cars And Girls」のCDシングルには収録されませんでしたが、のちに「If You Don't Love Me」のCDシングル(Part1)に収録されることになります。

彼らの曲にしては、シンプルな構成の曲です。ゆったりとしたテンポで、同じセルフプロデュースの「Vendetta」に比べて、リラックスした演奏に感じられます。聴いた時点では「B面へのチョイスも納得」と思ってしまうのですが、ここまで普通に演奏している彼らが、かえって何か新鮮です。終盤に珍しくギターソロがあるのですが、この曲に彩りを添えているように感じます。

「Dandy of The Danube」

「The King of Rock 'n' Roll」の12インチシングル、CDシングルのB面曲です。

こちらも、シンプルな構成のバラード(?)曲です。セルフプロデュースで演奏や録音の感触がNero The Zeroに似ています。こちらも展開してウェンディとのデュオボーカルになる部分までは、少し単調に感じられますが、不思議な終り方など、印象的だと思います。

「Tin Can Pot」

「The King of Rock 'n' Roll」の12インチシングルのみの収録。おそらく未CD化。

3rdアルバム関連のB面曲の中で、個人的に最も聴き応えのある曲だと思います。アップテンポで、曲全体にわたって、グシャグシャに歪んだギターによって、バッキングされています。

曲は初期風ですが印象を異にしているのが、イントロから飛び出すギターリフです。「Faron Young」のような典型的なR&Rリフではなく、いってみれば「ジミー・ペイジ」風の、ひねったリフが曲を印象深くしています。

彼と「ジョン・マクラフリン(マハビシュヌ・オーケストラ)」をギターヒーローに挙げていた、パデイでしたが演奏もノリがあってお気に入りの曲だったのかもしれません。

その表れかもしれませんが、B面曲ながらBBCセッションでにてこの曲を取り上げ、演奏しています。冒頭にロックスター風の曲紹介があり、例のリフに入っていくのですが、彼らの少し違う一面を感じることが出来ました。初期の曲によく見られる、「ジョン・レノン」風の無意識な変拍子も聴くことができます。

「Tornado」

「Hey Manhattan!」のB面曲で、7インチをはじめ、このシングルのすべてのフォーマットに収録されています。

3rdアルバム関連のシングルの中で、もっともしゃれたデザインのこのシングル「The King of Rock 'n' Roll」の大ヒット(全英7位)を受けて(?)、更にたくさんのフォーマットが作られました。

少し余談になりますが、7インチと12インチのジャケットデザインが大きく違います。また2種類あるCDシングルのデザインも、3インチシングルは7インチのデザイン、5インチシングルは独自のデザインと複雑です。これに12インチは見開きスリーブと普通のスリーブの2種があり、前者は見開きにマンハッタンの夜景と、歌詞が描かれている豪華仕様になっています。

さて「Tornado」ですが、こちらも「Nero The Zero」、「Dandy of The Danube」ラインのリラックスした演奏です。ボサノバ風の歌い出しから始まり、展開では典型的なプリファブ風コード進行を聴く事ができます。たしかにアルバムの雰囲気にはそぐわなかったのかもしれません。

「Life of Surprises (24 Track)」

「Nightingales 」の12インチ、CDシングルに収録。

おそらくこのデモテイクのまま、のちにアルバム「Protest Songs」に収録され、のちにベスト盤のタイトルトラックになり、シングルカットまでされています。

私の聴く限りではありますが、のちのリリースとこのデモテイクは、まったく同じに聞こえます。(表記された録音に関係した人物のクレジットは、このシングルとのちのリリースもそれぞれ全く同じです)

デモテイクと銘うってはいますが、おそらく完成品ながら、この時点では発表する機会が未定であったため、このシングルに収められたのかもしれません。

この「Nightingales 」の12インチ、CDシングルには、これらデモテイクに関するパデイのコメントが載っているのですが、この「Life of Surprises」について、「ここだけの話」のようなニュアンスで「Protest Songs」の存在と、その収録曲になるかもしれないことを、ほのめかしていますまたこのコメントは「Don't Spend Too Long on The Demos.」とまとめられており、のちに更にスタジオ住まいが多くなる萌芽(Sprout!?)を感じます。

「The King of Rock 'n' Roll (16Track)」

「Nightingales 」の12インチに収録。

すでに発表された曲のデモテイクを聴けるというのは、フアンにはたまらない企画だと思います。このテイクもまさにそれに当てはまるかと思います。

おなじみの大ヒット曲ですが、さすがにデモだけあって、音質はよいもののかなりスケッチ的な録音です。リズムマシンのガイドに完成テイクでは聞こえない、アコーステイック・ギターによるバッキングが聞こえます。この曲は「トーマス・ドルビー」のプロデュースにより完成するのですが、おそらく参加していないはずのデモの段階で、すでにトーマス・ドルビー風のキーボード・フレーズが聞けるのは興味深いです。

「Bearpark (4Track)」

「Nightingales 」の12インチ、CDシングルに収録。

自ら「Very Rough」と語っているように、初めての4トラック・カセットと「Dr.Rhythm」による録音とのことです。淡々と進行する曲ですが、なぜかメロデイーは頭に残ります。

この曲と「The King of Rock 'n' Roll (16Track)」のデモテイクのプロデュースは「A.Rolf」とクレジットされています。実はパデイの変名なのですが、後述する「Bonny」のライブテイクでの「Acapulco Rolf's」にかけているのでしょうか?

「Bonny (Live)」

「The Golden Calf」の12インチ、CDシングルに収録。

彼らの全リリースを通じての唯一のライブ録音です(2ndアルバム収録曲)。クレジットには「Live at Acapulco Rolf's」とあり、地名を表していると思っていたのですが、有名なロンドンの豪華なナイトクラブを意味しているとのことです。

実はA面の「The Golden Calf」のプロモビデオ撮影が、このクラブで行なわれたという設定から、おそらくジョークで、カップリングのこの曲にクレジットされているのではと思います。

ビデオを見ますと、楽器のセッテイングはいかにもビデオ録り(口パク)のためのものですし、収められたテイクはしっかりとした演奏で、撮影時のサービスにこの「Bonny」を演奏し、それを録音したようなものには感じられないのです。(サイン会に集まったフアンが、後日撮影スタジオに招待されたとのことです)

あくまで推測ですが、2ndアルバム時のツアー中の音源を使用したものではないでしょうか?

ちなみにBBCが録音して放送したレディング大学のライブと聴き比べたのですが、この日の演奏ではありませんでした。またBBC録音をリリースする場合は、必ずBBCが認可した旨のクレジットが必要になるはずです。

おそらくバンド側でどこかのライブを、録音していたのではと推測します。これをぜひリリースしてほしいのですが...。

おわりに

ここまでが3rdアルバム関連のB面曲ですが、ここに紹介したカップリング曲以外の収録曲は、既に発表されている音源で、またその比率が2ndまでのシングルとは違い、かなり高くなっています。

たしかに1枚のシングルにつき、たくさんのフォーマットが発売されるようになったということも、関係しているとは思います。しかしデビュー前やデビュー当初の録音は、まだまだあるはずです。たとえB面とはいえ初期の音源や初期の曲の再録音は使用しない方針としたのかもしれません。フアンとしては残念に感じます。

しかしこれ以降、ますますその傾向は強まります。このあと「Protest Songs」、「Jordan:The Comeback」、「The Best of Prefab Sprout」とアルバムは発表されるものの、シングルのB面に未発表曲が収録されることは、全くありませんでした。

そして97年、ついにアルバム「Andoromeda Heights」の発売による、シングル群から未発表曲の収録が再開されます。

次回これ以降の曲に関して、続けていきたいと思っております。前回に引き続き、少し重箱の隅をつついた感もありますが、いかがだったでしょうか。ご指摘、ご感想もお待ちしております。

(記事作成 2000年9月)

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