Andy Pawlak (アンディー・ポーラック)

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Andy Pawlak Discography

Introducing...

Marmaids」という曲をご存知ですか?16ビートにシャキッとしたアコースティック・ギターのカッティングがたいへん心地よい曲です。今回の特集の主役、Andy Pawlak (アンディー・ポーラック)のデビュー曲です。88年に発表されたこの曲につづき、89年にはこの日本でも、アルバム「想い出のシークレッツ〜Shoebox Full of Secrets」がCDで発売されました。当時、決して大きな話題になったわけではありませんでしたが、ネオアコースティックフアンにはたまらない好作品でした。残念ながら、おそらく活動期間が短かったため、彼はあまり音楽雑誌などで、取り上げられることのないアーチストでした。今回当ページにて、少ない情報からではありますが、彼の魅力に迫っていきたいと思います。

メジャーレーベルからのデビュー

1988年の、イギリスの音楽シーン。今思えば、ザ・スミスの解散から、ストーン・ローゼズ、ハッピーマンデーズらが興した「Rave」ブームまでの真空期間でした。

そんな年に、Andy Pawlak (アンディー・ポーラック)はデビューしました。当時、英ポリグラムグループが、古くからの名門レーベルフォンタナ(Fontana)」を復活させ、数多くの若手バンド・アーチストをデビューさせていました。彼もそのうちの一人でした。

「We Should Be Swimming with...」

1stシングル「Marmaids」は、さわやかな16ビートに乗った曲で、Craig Leon(クレイグ・レオン)The Go-Betweensをはじめ、ギターバンドのプロデュースが多い)のプロデュースにも支えられ、彼は順調にそのキャリアをスタートさせることが出来ました。このとき24才。新人ながら、ミキシングはニューヨークで行なわれており、レコード会社の期待もうかがわれます。

時を置かず、2ndシングル「Secrets」が発売されます。明るいミデイアムテンポに、ホーンや女性コーラスが印象的なこの曲は、のちに発売されるアルバムの、冒頭を飾っています。アルバムタイトルも、この曲の一節から取られています。

CDシングルに収められている、2曲(アルバム未収録)はキーボーディストのGraham Hendersonとポーラックの共同プロデュースとなっており、彼はサウンド作りにおける、パートナーであったのでしょう。

ジャケット裏には、彼を含む4人編成バンドとしての写真があり、当時この編成にて、ライブ活動を行なっていたと思われます。

アルバムの発売

そして89年、ついにアルバム「Shoebox Full of Secrets」がイギリスにて発売されます。先行シングル「Marmaids」、「Secrets」を含む13曲は、デビューアルバムとは思えない、クオリティを持つものでした。

アルバム全体に感じられる音楽性は、「アコースティック感覚のポップソング」といってしまえばそれまでですが、少し中庸なアレンジがThe Bible(ザ・バイブル)、Big Dish(ビッグ・デイッシュ)、あるいは同レーベルのLove & Money(ラブ・アンド・マネー)などを連想させます。個人的な意見ですが、音作りは誰々風と表現出来るのですが、曲やアルバム全体を通して考えると、彼の個性に支配されていて、特定の影響を指摘することができません。といってアクが強い印象は感じられず、AORと形容できなくもないような、不思議な感覚があります。

プロデュースしたCraig Leon(クレイグ・レオン)の派手過ぎず、地味過ぎずといったサウンド作りも、彼の個性にフィットしていると思います。

しかし彼の詩作のほうは、けっして穏やかなラブソング風ではなく、ちょっとしたフレーズの中にも、風刺や皮肉がこめられています。日本盤CDの中村美夏さんのライナーノーツによれば「詩人としてやっていけるのならそうしたい」という旨の、彼自身の発言も、引用されています。また好きなアーチストに、BillyBragg(ビリー・ブラッグ)、Tracy Chapman(トレーシー・チャップマン)、Bob Dylan(ボブ・デイラン)を挙げています。

この少し大人っぽいアルバムの音作りは、彼のレーベル、フォンタナ(Fontana)の同期生バンドにも、共通したものを感じます。Lilac Time(ライラック・タイム)の諸作、またクリエイションから、あのアラン・マッギーをマネージャーとして帯同しての、House of Love(ハウス・オブ・ラブ)のセカンドアルバムなど、音楽性は違いますし、それぞれプロデューサーもバラバラなのですが、なぜか音作りの面に関しては類似性を感じます。

スコットランドへのこだわり?

ちなみに彼のリリース作品のパッケージには、すべて美しい写真が選ばれています。アルバムのジャケットにはグラスゴーの荒涼とした風景の写真が使われています。2ndシングル「Secrets」のジャケットにも、スコットランド人写真家の作品集から選ばれていて、スコットランドへの思い入れがあるのではと想像してしまいます。(彼は北部イングランドのニューキャッスル出身)

早過ぎる終焉

デビュー・アルバムにして、好作品をものにした彼の3rdシングルとして、「She Kept A Hold of Love(Mother's Day)」が、89年5月に発売されています。アルバム収録曲「Mother's Day」の別バージョンで、新しくタイトルも付けてのリリースです。このシングルバージョンの出来はなかなか良く、アルバムバージョンよりも、印象深い仕上がりとなっています。若干のテンポアップと、間奏のやや大味なキーボードメロデイーをカットしたため、よりギターポップ色を感じさせます。アルバム未収録曲もカップリングされ、CDにはこの曲のAcoustic versionも収録されています。

しかし彼のフォンタナ(Fontana)からの作品は、このシングルが最後となったようです。当時イギリスのプレスでは、このレーベルに対して、「アーチストやバンドを青田買いして、結局アルバム一枚で手放している」という批判がありました。それが真実かどうかはわかりませんが、少なくとも彼も他のバンドたちと同様の運命を辿ったのは、間違いありません。

私の知る限りではこれ以降、彼の作品が発売されたという話は聞きません。もし何か情報をお持ちの方がおられましたら、ご一報いただければ幸いです。

「Best Regards」...?

アルバムやシングルでの彼の写真には、着古されたようなスイングトップを身につけ、朴訥と立っているという印象があります。派手な話題を振りまいたアーチストではありませんが、10年以上経った今でも、彼の音楽のもつ輝きは失われていないと思います。

追記 

2001年2月にユニバーサルから、アルバム(CD)「シューボックス・フル・オブ・シークレッツ」(品番  UICY−3099 )が再発売されました。デジタル・リマスタリングに新しいライナーもついてのうれしい再発です!

またこのページをご覧いただいた方から、アンディー・ポーラックがMonkeyというグループで、現在も活動しているという情報もいただきました。すでに「フェイス」というBlurのデーモン・アルバーンも出演しているという映画のサントラ挿入歌として「Subside」という曲が起用され、そのサントラの解説には、Monkeyとしてのファーストアルバムも準備されているとの記述があるそうです。

また同じくこのページをご覧いただいた方から、88年頃アンディー・ポーラックの事務所宛てにファンレターを出され、その後すぐにマネージャーさんから「今彼はアメリカで飛行機の免許(!)を取っているところ。夏にはまたアルバムを出すから、楽しみにしていてね。」という返事をもらわれたというエピソードをいただきました。年月は経ちましたが、もしかしましたらMonkeyというグループ名義でついにニュー・アルバムが発売されるかもしれず、動向を見守っていきたいと思います。

追記 2

新たにアメリカのパイロット・スクールで、アンディー・ポーラックから直接ヘリコプターの操縦技術を学ばれたという貴重な情報をいただきました。

この方によると、アンディー・ポーラックは1988年頃から1993年末頃までアメリカに滞在し、ヘリコプター免許の取得後、インストラクターとして勤務。その間も現地でメンバーを募り音楽活動(デモ・テープ制作や持ち込みをふくむ)を続けていたそうです。

講習中に彼がつい数年前までプロのミュージシャンであったことや、アルバムを聴かせてもらったあとに、タイトルの由来などについて語ってくれたとのこと。(「Shoebox Full of Secrets」〜イギリスの若者がラブレターなど秘密のものを靴の空き箱に隠してベッドの下にしまう習慣をあらわしたもの)

曲調からもイギリスを感じさせる彼がアメリカでヘリコプター操縦のインストラクターをしていたとは本当に驚きです。またまだアルバムからシングル・カット作品がリリースされていた頃には、すでにイギリスを離れていたか、少なくともその準備をしていたという事実が、フォンタナとの契約終了がすでに決定していたことをうかがわせます。

メールを送っていただいた方へ、貴重な情報をいただきあらためてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

(記事作成 2000年7月、2001年6月、2004年1月 加筆)

 

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