The Killjoys

80年代後半から、現在も活動を続けるオーストラリアのPOPバンド、The Killjoys。英米発信の音楽情報がほとんどである日本では、あまりおなじみのグループではないかもしれません。しかし良く比較されていたEverything But The GirlやWeekend、Devine&The Stattonをはじめ、ネオアコ・ギターポップフアンの方にアピールするグループだと思います。今回はこのThe Killjoys のバイオ・情報をお伝えしていこうと思います。

アルバム「Ruby」

91年冬、「ロッキン・オン」誌に載った小さなレビュー。それがこのThe Killjoysとの出会いのきっかけでした。アルバム「Ruby」発売時のレビューで、自分の好きなグループが例にあげられ、またオーストラリアの女性ボーカルのバンドであるということで興味もわき、早速そのCDを購入してみました。

聴いてみたところ、アルバムはまさに捨て曲なしのアコースティックPOP!たしかに比較に出されていた、Everything But The GirlWeekendっぽいサウンドです。またボーカルのAnne Burleyの声はとても美しく、たとえばEBTGのトレーシー・ソーンよりもプロフェッショナルに感じました。今聴き返すとアレンジにおけるヴィブラフォン(鉄琴)の比率が高く、前述のグループとの違いを感じられるところでもあります。

またとにかく良い曲ぞろいでとくにシングル曲「Fall Around Me」は、このアルバムの白眉!冒頭リム・ショットの部分から、ドラムが入ってきて盛り上がるサビの美しさは、何度聴いても飽きません。

「One More Hour」、「I Don't Really Know」はシンプルなアレンジゆえに、Anne Burleyの歌のうまさも目立ちます。ヴィブラフォンは、まるで歌と呼応しているかのような演奏です。また「Don't Let Me Down」はジャズっぽいはねたリズムの明るい曲で、アルバムの良いアクセントになっています(少しFairground Attractionっぽい?)。

日本盤CDのみのボーナス・トラックですが(本国ではシングル「Michael Told Me」のB面曲)、「Lisa」は歌とギターとトランペットだけの演奏ながら、シングルになってもおかしくないようなキャッチーさがあります。間奏のトランペットのフレーズも美しいです。

Killjoys の個性

アコースティックな編曲が個性であるバンドは80年代前半以後、現在でもたくさん出現してきたと思います。もちろん私もそういった雰囲気を持つグループは大好きですが、アルバムを通して聴いた場合、「全曲同じ印象だなあ」と思うときもあります。

しかし彼らは雰囲気だけではなく、心に何か引っかかる曲を作れるグループではないかと感じています。もちろん打率10割とは言いませんが、けっして突飛な曲構成やアレンジを施しているわけではないのに、微妙に王道のPOPとは違いなぜか心に残ります。

サウンドに関しては、変な話今の日本のFMで王道の女性シンガーたちの曲に混じって流されていても、違和感がないと思います。ヴィブラフォン、トランペット、ストリングスなどのアコースティックな楽器を使ってアレンジされていますが、今特にそれがめずらしいわけではないでしょうし、曲の構成なども含めどちらかといえば保守的な印象さえあります。

しかしたとえば初期ポストカードやチェリーレッドレーベルなど、ネオアコ・ギターポップのコアなフアンをも惹きつける不思議な魅力も持ち合わせているように感じます。実際彼らはEverything But The Girlのトレーシ−・ソーンJohn Martin(EBTGのベン・ワットのフェイバリット・アーチスト)のカバーを演奏しています。

また彼らのカバー曲の一つにFairground Attractionの曲もあるのですが、リスナーから見たグループの位置としては似ているように思います。ギターポップフアンの定番のひとつでもあるでしょうし、そんなに音楽を聴かない方でも、好きになりえる普遍的な曲の良さがあると思うのがその理由です。

From Down Under

また出身国というのも彼らの個性に関係があると思います。

オーストラリアといえば、The Go-Betweensを思い出される方も多いと思いますが、特に後期の音楽性、またある程度メジャーなシーンにいてもおかしくないのに、無意識に(?)王道から距離を置いているところなど共通点を感じます。特に音楽面ではイギリスのシーンに影響を受けながら、出てくる音はそれらとは微妙に違うといったところは、オーストラリアまたニュージーランドのグループの特長であり、魅力だと思います。

もしかしたらロック、パンク、ハードコアといった他のジャンルでもそういった特長があったりするのではないでしょうか?またThe Go-Betweens、The Triffidsといったグループは、イギリスにおいて着実なセールスとライブ動員を維持し人気が高かったというのは興味深いです。

The Killjoys Biography

以下私の知る限りの彼らのバイオを書いていくつもりです。間違いのないよう気を付けたつもりですが、必ずしも完璧とはいえないものであることを、おことわりしておきます。

The Killjoysは1987年、メルボルンのWild ScienceというグループにいたAnna Burley(Vocal、Guitar)と、Craig Pilkington(Guitar)が中心となり、Carolyn Schwerkoit(Vibraphone、Keyboard)、Jeremy Craigie Smith(Bass)、Will Larson(Drums)のメンバーにて結成されました。

89年に自らのレーベルAudreyから、5曲入りミニ・アルバム「Audrey」を発表。続いて同年、7インチ・シングル「Fall Around Me」を発表。このシングルが国内のインディー・チャートで評判になり、アルバム制作への後押しとなりました。

そして90年10月、ついにファースト・アルバム「Ruby」が発表されます。

シングル「Fall Around Me」を含む、全12曲入りのこのアルバムは、国内のインディー・チャートで2位まで上昇。結果91年4月の「ARIA」(オーストラリアの音楽賞)「Best Independent Release」部門を受賞。地元メルボルンだけではなく、全豪での人気を獲得しました。また5月にはアルバムからCDシングル「Michael Told Me」がカットされています。

またこの「Ruby」はアポロンから、日本盤CDが発売されました。ジャケットは本国とは別の写真が使われ、CDシングル「Michael Told Me」のB面曲「Lisa」、「This Ceaseless Rain」がボーナス・トラックとして収録されています(全14曲)。山田道成さんの詳しい解説と歌詞・対訳がついています。

この頃が日本の音楽雑誌(商業誌)などで、彼らが取り上げられていた唯一の時期ではないでしょうか?(当時まだ出始めのCSの音楽番組では、「Michael Told Me」のプロモ・ビデオも流れていました)

私の知る限りでは以降のリリースに際し、レビューや記事などは目にすることは出来ませんでした。2ndアルバムは、外資系大型CD店で偶然見つけ、発売を知ったという感じでした。またここ3年くらいに次々と発刊された、ギターポップ系のガイド本等でも、取り上げられていなかったのではないかと思います。

そういう意味でもこの「Ruby」の日本盤発売には感謝したいと思います。個人的にはKilljoysの音楽と出会えるきっかけを作ってもらった訳ですし、おそらくレコード会社の担当者に、オーストラリアのポップをPushされる方がいらっしゃったと思えるのです(The Go-Betweensの「Tallulah」、「16Lovers Lane」の日本盤発売も同社からでした)。

さて話が少しずれましたが「Ruby」の成功により、彼らはついに本国のレコード会社「Mushroom」と契約を結び、同社のMXL Musicからのリリースが始まることになります。

まず91年11月、4曲入りCD.EP「Spin」を発表。サウンド的には「Ruby」の延長線上にあるもので、比較的開放的な曲でまとめられているせいか、明るい印象があります。「Mine to Keep」では16ビートのリズムが、いわゆる「ネオアコ」していて、彼らにしてはストレートなアレンジだと思いました。「Calling me on」ではやはりヴィブラフォンが大きくフューチャーされています。

そして92年、何と彼らは先輩格のThe Go-Betweensの轍を踏むかのようにイギリスへ渡り、2ndアルバムのレコーディングを開始します。

プロデューサーにはこれもThe Go-Betweensを担当したCraig Leonを迎え、この「A Million Suns」は93年2月に発売されました。

内容はサウンドや曲作りの面で大きくレベル・アップしているように感じます。メンバー以外の、バンジョー、ストリングス、ハーモニカなどでのゲスト参加も多く、ポーグスのスパイダーもホイッスルで参加しています。

(このアルバムは全13曲と表記されているのですが、実は14曲目もあって収録曲「Beauty And Danger」のアイリッシュ・トラッド風のインストが入っています。この曲にスパイダーが参加しているのではと想像します。ポーグス人脈の参加はCraig Leonがポーグスも担当していたからではないでしょうか?)

曲の良さは相変わらずで、シングルとなった「Beauty And Danger」をはじめ、「A Pop Song」、「Should Knoe Better」などのアップテンポの明るい曲が印象的です。特に「Beauty And Danger」はビートルズの「All My Loving」風のギター・サウンドやブレイクが効果的です。今までリズム・ギター中心だったCraig Pilkingtonも、ギター・ソロを聴かせてくれるようになりました。

また特に静かめな曲「Yes Yes Yes」「Five Minute Waltz」にて、ゲストによるアレンジが使われています。こういったおとなしめの曲でも飽きさせないところは彼らの強みだと思います。なかでも「Pray for rain」は秀逸のバラード曲です。

このアルバムはヨーロッパでも発売され、英メロディー・メーカー誌でもレビューされています。またそのヨーロッパ盤と本国盤では仕様が違うらしいのですが、私は本国盤しか持っていませんので、その違いに関しては不明です。

ここでCDシングル「Beauty And Danger」(アルバムと同時期の発売)、「I Lied」(アルバムからのシングル・カット 93年6月)の発売を経て、ヴィブラフォンとキーボードのCarolyn Schwerkoitが脱退してしまいます。

ここまで触れていませんでしたが、Killjoysの活動において、ベーシストとドラマーの交替は頻繁に行なわれています。ただ一部の作曲とKilljoysサウンドの個性を担ってきた彼女の脱退は、グループにとって大きな変化であったことは間違いありません。

94年に入り再び、Craig Leonのプロデュースによりイギリスでレコーディングを行ないます。これが94年5月にCDEP「Love And Uncertainty」として発売されます。Carolyn Schwerkoit脱退後の初の音源ですが、タイトル曲でのキラキラとしたギターのアルペジオをはじめ、数本のギターのからみが美しい曲です。間奏での不協和音ぽいフレーズを奏でる管楽器も印象的です。また収録曲「Differently」はネオアコ・フアンは必ず好きになりそうな、アップテンポの佳曲です。

94年10月にCDシングル「Come Around」が発表され、ここからリリースの間隔が長くなってきます。96年3月にCDシングル「Stupid Waste」が発売された後、しばらくリリースに関しては休止期間となったようです。おそらくこの時期の前後にMushroom(MXL Music)との契約が終了したものと思われます。

そして97年11月、Festivalからアルバムに向けてのCDシングル「Save Me」が発表されます。リズムのトリックのあるギターのアルペジオから、なんと日本でも流行したオアシス的リズム・パターンへ入っていくこのバラード曲は、なかなかの出来です。実は活動休止前の2曲のシングルがKilljoysにしてはちょっと?な出来だと感じていたので、この曲のすばらしさには安心しました。

98年3月に待望の3rdアルバム「Sun Bright Deep」が発売されました。少しロックっぽくなっているのではという想像は、当たらずとも遠からずで、ギターの比重は高くなってきていると思いました。また98年9月に発売されたCDシングル「The Better Ite Gets」では、アルバム収録曲の別Mixを収録していたり、新しい試みも行なっています。ここらへん個人的にはうれしいようなそうでないような複雑なところですが、とにかく活動が再開されたことはとても嬉しく思います。

現在KilljoysはNew Album発売前の準備期間とのことで、単発的に国内でのライブを行なっている模様です。2001年のリリースが予定されているこのアルバムの発売に期待したいと思います。

(記事作成 2000年11月)

 

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